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衛藤賢史のシネマ教室

バレット

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   2013/05/28

無駄な描写を捨て、たたみ込むような早いテンポで切れ味鋭い演出を得意とするウォルター・ヒルが、シルベスター・スタローンの要請を受け、10年ぶりに監督復帰をしたクライム・アクションである。
女子供への殺しは絶対にしない。裏社会を生きのびていくには自分だけを信じる。この2つを鉄則としている殺し屋ジミー・ボノモは、この裏社会での<修羅>の世界を40年間したたかに生き抜いてきたタフな男である。
ある日、一仕事を終えたジミーは、仕事の仲介人ルニーと待ち合わせるバーで相棒と愛飲するウイスキー[バレット]を飲みながら待っているとき、謎の巨漢に相棒が殺されてしまう。実は今回の仕事の裏には警察をも含む収賄事件が絡んだものだったのだ。
そして、この事件を捜査しているワシントン警察の堅物の東洋系刑事テイラーが、ジミーに接触してくる。相棒への復讐を決意したジミーは、テイラーの持っている情報しか事件のとっかかりが掴めないため、この堅物の刑事テイラーとコンビを組む事にする。
その結果、相棒を殺したのが元傭兵の殺し屋キーガンであることが判明する。
雇主の思惑などお構いなしに殺しだけを楽しむキーガンは、ジミーとテイラーにとって最凶の男だった。
法に照らした事件解明をしようとするテイラーと、己の腕だけを信用し問答無用の解決が信条のジミーのコンビは不協和音が生じる。その間隙を狙ってのキーガンのルールなしの策略・襲撃の荒っぽい手口。迎え撃つ殺し屋と刑事という即席コンビ。
遂にはじまるジミーとキーガンの肉弾合いうつ戦いの帰趨は・・・・。
派手なCGなどを使用するカーアクションや超絶的アクション・シーンなど一切なし!男たちの肉体と肉体のぶつかり合い、銃撃戦。生身の身体で戦う男たちの姿をスタイリッシュな演出で描写するW・ヒル監督の腕は少しも落ちてない。
そんなハードなアクションを67歳のS・スタローンが挑戦していくのが最大の見所の作品である。ラストのスタローンとキーガン役の34歳の巨漢J・モモアの斧を使っての戦いはまさに白眉である。スタローンの一歩も引けをとらない動きには、もう感心するしかない!これぞ生身を駆使しての男の戦いぞ、という意気込みが十分にスクリーンから迸るのだ。それだけで、ぼくはこの作品を許してしまうのだ。
ぼくのチケット代は、2,000円出してもいいかなと思います。
星印は、2つ半差し上げます。
 

5点満点中2.5点 2000円

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