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衛藤賢史のシネマ教室

エリジウム

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   2013/09/24

『第9地区』で風刺のきいたSFを演出した南アフリカのN・ブロムカンプ監督が、ハリウッドに進出して撮ったSF作品である。
時代は2154年、地球は環境汚染により荒廃の極に達していた。
地球を支配していた一握りの富裕層は、地球の上空の成層圏に<エリジウム>というスペースコロニーを建設し暮らしている。そこはどんな難病も一瞬の治療で治癒する最新医学の設備を持ち、永遠の生命が手に入る理想郷であった。<エリジウム>の防衛長官であるデラコートは、この一握りの富裕層の生活を守るため、地球からの移民を全面禁止し密入国する者を容赦なく打ち落としていた。
その頃、地球上に住む貧困層のひとりであるマックスは、過酷な工場労働に従事中に事故に遭い致命的な被ばく量の放射線を浴び余命5日という宣告を受ける。マックスは生きたい!という一念で<エリジウム>に対してレジスタンス活動をするグループの一員となり、自分の身体に<エリジウム>のマザーコンピューターのデータを改ざんできる器具を埋め込み<エリジウム>に侵入する危険な任務を志願する。
その計画を察知した地球に潜む潜入捜査官クルーザーは、デラコートの指令で執拗にマックスを追跡しはじめる。
マックスに残された時間は少ない。しかもマックスには幼馴染みの恋人のフレイの幼い娘で白血病によりマックス同様余命の限られた命を助けたい、という切ない思いもあり任務遂行に困難を来していた。
果たして、マックスはデラコートが防衛する<エリジウム>の鉄壁の防衛システムを突破し、自分と少女の病気を治癒させながら、地球に残された貧困層のために<エリジウム>のデータを改ざんさせることが出来るのか?残された時間は刻一刻と過ぎていく、そして、最後に取るマックスの手段とは・・・・。
『第9地区』ではエイリアン難民と地球人の対決を奇妙なユーモア感を漂わせながら描いたN・ブロムカンプ監督のこの作品は、打って変わってシリアスな内容のSFとしてスリリングにドラマが進んでいく。しかし内包するテーマは変わらない。強者による差別への怒りへの強いメッセージは一貫したものであった。
ぼくのチケット代は、2,000円出してもいいかなと思います。
星印は、3つ差し上げます。

5点満点中3点 2000円

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