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衛藤賢史のシネマ教室

龍三と七人の子分たち

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   2015/04/28

引退した70代のヤクザと、現在やっかいな存在としてメディアを騒がせる半グレ集団の抗争を描く、北野監督独特の諧謔味を随所に織り込んだコメディ作品である。
<鬼の龍三>と呼ばれ、その世界で名を売った高橋龍三ももう70才。
とっくの昔にヤクザを引退し、今は息子夫婦のお荷物として毎日を無為に過ごしている。
そんな龍三のもとに、息子夫婦が留守のときオレオレ詐欺の電話がかかってくる。見事にひっかかった龍三だが、金の受け渡し場所で元ヤクザの兄弟分のマサと出会いふたりの言動からヤクザものと知った男は逃げてしまう。
そのことから元暴走族集団でいろいろな種類のワルに手をかけている京浜連合のしわざと知った龍三は、かつての自分たちの縄張り内で悪さをしているこの半グレ連中を「若いヤツラに勝手な真似はさせられねぇ」と憤慨し、昔の仲間に集合をかける。
しかし集まったのは龍三を含めて8人だけ、それぞれ昔はその凶暴な特技を持ってヤクザ連中を震えあがらせた男たちだが、もう寄る年波でその荒技も錆びてしまってはいたものの頭の中は昔のままの威勢のいい連中であり、龍三と組んで京浜連合と一戦を交える気持ち満々になっている。
龍三と七人の元ヤクザは「一龍会」というヤクザ組織を勝手に結成し、京浜連合の庶民を泣かす阿漕な仕業をその威勢のよさと後先考えない無鉄砲さでじゃんじゃんと邪魔しはじめる。ジジイの軍団が何をできる!とタカをくくっていた半グレ連中だったが、偶然にしろあくどいやり方の場所にいつも出くわすこのジジイの元ヤクザ8人組がうざくなりはじめ消そうと図りはじめた。そしてついにジジイ集団の自称「一龍会」と若い半グレ集団の「京浜連合」の珍妙な戦いがはじまるのだが・・・。
北野監督の意図した考えなのか、元ヤクザのジジイ集団の言動の下品さが全編にわたって充満し、エンタテイメントとしてのカタルシスが感じられない。また半グレ組織の描き方も戯画化しすぎてお粗末な集団にしか見えないのも内容をチャチっぽくしている。
北野監督、今回は少し遊びすぎたのではないですか?
ぼくのチケット代は、1,500円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2つ半を差し上げます。

5点満点中2.5点 1500円

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