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衛藤賢史のシネマ教室

バリー・シール アメリカをはめた男

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   2017/10/24

アメリカのCIAと南米コロンビアの麻薬組織メデシン・カルテルの双方から利鞘を取って大金を稼いだ、天才パイロットのバリー・シールの破天荒な人生をコミカル・タッチで描いたクライム・アクションをトム・クルーズが気持ち良さそうに演じている。
 
大手航空会社の若手パイロットであるバリー・シール(トム・クルーズ)は、天才であるが故に規則通りの運行に嫌気がさしていた。そんなバリーに目をつけたのがCIAのシェイファー(ドーナル・グリーソン)。この頃、南米ではアメリカ資本の進出で富を独占され、反アメリカの機運が高まり、そこにソ連が社会主義運動を煽っており、南米諸国では武器などの援助を受け社会主義国家が続々と誕生していた。シェイファーは自分の出世のためバリーをスカウトし、すごくスピードの出るプロペラ機の操縦を与えて反米組織のアジトを、搭載したカメラで撮影させようとしたのだ。安全第一の航空会社のシステムよりも、このアメリカ国家のためになり報酬もいい、またワクワクするような冒険心を刺激するこの仕事にバリーはのってしまう。天才パイロットの腕を生かし仕事は快調!バリーは妻ルーシー(サラ・ライト)の心配をよそに仕事に没頭する。そんなバリーの操縦技術に注目した、コロンビアの麻薬組織パブロが莫大な報酬で強制的にスカウトする。両方からの報酬でうち出の小槌みたいに目もくらむような大金が手に入るバリーは、仕事を拡大していく。だが、そんなバリーにアメリカのFBIなどの捜査機関が目をつけ密かに捜査が開始されていく。また南米の麻薬組織もバリーに疑いの心を持つことになる。さあバリーは、そんな手玉に取っていた両方の組織から逃れることが出来るのか?CIAのシェイファーは、そんなバリーをどこまで守れるのか・・・。
 
ダグ・リーマンのテンポがいい演出は、アメリカと南米でのバリーの脳天気な行動をコミカルに描いていき、トム・クルーズは得意の操縦技術をスタントなしで気持ちよさそうに見せてくれる。だが、見ていて、どこか主人公に感情移入させない何かがこの作品にはあるのだ。それはこれがトゥルー・ストーリーであり、麻薬を扱った犯罪に安直に荷担した内容のせいかもしれない。コミカルであればあるほど少し見るぼくらの心が冷えてしまうのだ!
ぼくのチケット代は、2000円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。

5点満点中2.5点 2000円

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