OBS大分放送
衛藤賢史のシネマ教室

空飛ぶタイヤ

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   2018/06/22

中小企業の悲哀と、睥睨する大企業への痛快なシッペ返しを描いてベストセラー作家となった池井戸潤の同名小説の映画化だ。

 
従業員100名たらずの赤松運送会社の大型トラックが、走行中タイヤが飛び居合わせた主婦に激突する死亡事故が起こった。警察や大企業であるホープ自動車の調査で赤松運送会社の整備不良とされ、社長の赤松徳郎(長瀬智也)は窮地に陥る。従業員を大事にする赤松だが、整備不良と判断され激怒して整備部門の若手・門田(阿部顕嵐)をクビにしてしまう。しかし門田は緻密な整備ノートをつけていた。だが、メディアは赤松運送を糾弾し仕事依頼は激減し、死亡した家族から賠償金も要求され銀行から取引停止となり経営が立ち行かなくなってしまう。絶体絶命のピンチの中、赤松は門田の整備ノートからホープ自動車が欠陥製品を販売したのではないかと疑問を持つ。しかし、ホープ自動車の対応はケンもホロロで中小企業を見下した態度を取る。妻・史絵(深田恭子)の激励でわずかに正気を保つ赤松だが、事態は最悪の状態。だが、ホープ自動車の内部で販売課長の沢田(ディーン・フジオカ)や同僚の小牧(ムロ・ツヨシ)などから自社のリコール隠しへの疑問を持つものが出てくる。さらに週刊誌記者の榎本優子(小池栄子)がホープ自動車の不正を取材するなど、少しずつであるが赤松の主張に耳を傾ける者が出はじめる。蟷螂の斧みたいな存在の赤松運送が、国家を代表するコングロマリットな大企業であるホープ自動車に果たして勝つ事が出来るのか、赤松の部下を信じる心から発した執念は世間を動かす事が出来るのか・・・?

 
本広監督は、この長編熱血小説をダイジェスト的内容にせず、追い詰められながら反撃する中小企業の心意気と、大企業内部の勢力争いに的を絞り娯楽映画としてまとめてきたと思う。俳優陣の布陣も含めて大作仕立ての作品なので絶対失敗できないという思いは見る観客には伝わる内容となっていた。ただ長瀬智也や刑事役の寺脇康文の台詞の言葉づかいが荒っぽいのが気にかかった。いくら怒りに触れたとは言え、あまりにぞんざいな態度と言葉の使い方をされるとそこだけ浮いてしまうような感じにされたのは、ぼくだけではないと思うのがだが・・・。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は3ッさしあげます。

5点満点中3点 2100円

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