OBS大分放送
衛藤賢史のシネマ教室

天気の子

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   2019/07/23

「君の名は。」(2016)の大ヒット(全世界興行成績/約400億円)で、日本のみならず世界中に新海ブームをもたらした新海誠監督の最新作。

ある島から家出した16才の森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗)は、東京へ向かう荒れる船中で須賀圭介(声:小栗旬)に命を救われ名刺をもらう。誰にも頼らずひとりで生きていくことを決めた帆高は、拾った拳銃をお守りとして懸命に東京でバイトするが窮してしまった時に、マックでバイトしていた天野陽菜(声:森七菜)からハンバーガーを内緒でもらい感激する。それがふたりの出会いだった!帆高は、もらった名刺を頼りにフリーライターしている圭介の事務所をたずね、圭介の助手である夏美(声:本田翼)に気に入られ働きはじめる。ある日、いかがわしいバイトに連れていかれそうになっていた陽菜を見かけ救ったことから、陽菜が両親を失い小学生の弟・凪(声:吉柳咲良)とふたりだけの身の上だということを知り彼女を守りたいと思いはじめる。陽菜はそんな帆高に、自分の望む場所だけだが一心に祈るとその場所だけ!晴れさせる不思議な能力を見せる。もう夏なのに天候不順な東京は、雨・雨・雨の異常な毎日がつづいていた!帆高は、しぶる陽菜を説き伏せてネットで<望む場所を晴れさせます>という広告をうつと思いがけなくヒットし、バイトは大成功。陽菜は自分の不思議な能力が色々な人々の心を幸せにすることによろこびを感じはじめるが、同時に躰の変調を覚えはじめる。そんな時、帆高の拳銃所持をある事から警察が知ることになり、児童相談所も陽菜と凪の未成年でふたり暮らしを調査しはじめる。帆高と陽菜と凪の必死の逃避行がはじまるが・・・。

世界中の異常気象にインスパイアされて企画されたこの作品は、「君の名は。」のタイムラグなどの複雑なストーリー構成を捨てて、現在進行形で物語を紡いでいく。社会の底辺で生活する少年・少女を主人公にして、ひとりの少女の不思議な能力を軸にしながら、人間が壊した自然の怖さを圧倒的な描写で描いていくのだ。同時に帆高など主人公の貧しさに負けない若さのもつ屈託ないユーモア描写などエンタティメント性も十分あり、笑い・泣きながらラストの宙天高くそびえる壮大な雲々のスピリチュアルな描写に酔うであろう作品となっていたのだ!醍醐虎汰朗と森七菜の声の出演は正解と言っていい魅力的な出来だった!
ぼくのチケット代は、2500円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2500円

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