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衛藤賢史のシネマ教室

AI崩壊

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   2020/02/04

AIと呼ばれる人工知能の技術進化は止まることを知らない世界に入った!あらゆる分野に進出したAIが、人間の職種を奪いつつあるのを実感する今日、その管理に人間が失敗した時に起きるカタストロフィーを描いた作品である。

舞台は2030年の日本。愛する妻・望(松嶋菜々子)のガンを看取った桐生浩介(大沢たかお)は、一人娘の心(田牧そら)とシンガポールで暮らしている。AI研究の第一人者であった浩介は、研究仲間でもあった望を亡くした後、画期的なAIを完成したが望の弟・西村悟(賀来賢人)に後を譲り隠遁生活を送っていたのだ。後を継いだ悟の努力で<のぞみ>と名づけたAIは、日本中の生活を管理するライフラインを受け持つ巨大企業に成長していた。その開発者として表彰される催しに帰国を要請された浩介は気乗りしなかったが娘・心の日本に帰りたいという気持ちに動かされ会社のセレモニーに参加することにした。しかし国内外の要人も招待された盛大なセレモニーの最中に、突然AI<のぞみ>が暴走をはじめた!忘れ物を取りに<のぞみ>に入った心は取り残され、あまつさえ警視庁のサイバー犯罪理事官・桜庭誠(岩田剛典)の指揮するAIから浩介が犯人と断定され、身に覚えのない浩介は脱走を余儀なくされる。<のぞみ>の暴走で日本中のライフラインが大混乱する中、浩介は疑念を晴らそうと必死の逃走をつづける。そんな騒ぎにアナログ系の刑事・合田(三浦友和)に相棒の奥瀬(広瀬アリス)は、浩介の容疑に疑念を持ちながら追跡する羽目になる。そしてその果てに見えはじめた巨大な陰謀とは・・・。

ハリウッド映画にも負けないリアリティのあるAI操作のある空間の作り。二重三重に張り巡らされたセキュリティ装置の緻密な扱いなど見応えのある空間描写にワクワクさせられる前半から、浩介の逃走へと入ると一転して作りが荒っぽくなるのは見ていて戸惑ってしまった。これはちょっと有り得んだろうとする描写の連続の果て、真相が明らかになる最後に至るB級的つじつま合わせの作劇法を、もっと工夫してくれればすごい内容になったのになぁ!と思わず天を仰ぐような作品となっていたのだ!最近の日本映画にはないスケール感の大きい作品だったたけに余計にそう感じてしまったのかも知れないが・・・。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半ぐらいかなと思います。

5点満点中2.5点 2100円

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